米国移民・関税執行局(ICE)は近年、運輸保安庁(TSA)との情報共有を強化しており、米国内空港における移民取締活動を拡大しています。従来は不法滞在移民が対象となっていましたが、最近では学生ビザ・就労ビザ保持者、就労許可書保持者なども対象となっているようです。特に、I-94の有効期限が切れている外国人対する身元確認、事情聴取、さらには拘束が行われていると報告されており、企業や外国人従業員の間で懸念が高まっています。
【国内空港内での拘束】
政府は航空会社の予約情報から旅行者の氏名、生年月日、搭乗便情報を入手し、チェックインカウンター、搭乗ゲート、あるいは搭乗橋で旅行者を別室に連行し、質問あるいは拘束したりていると報告されています。拘束後、本人は空港以外の収容施設へ移送されることがあり、場合によっては別の州へ移送されるケースもあります。そのため、家族や雇用主、弁護士が本人の所在を迅速に確認できないことがあります。また、被拘束者に対し、退去手続きが開始することもあります。
【米国内での延長・変更申請】
米国内で滞在資格の延長や変更申請をする場合、通常はI-94の滞在期限満了前に申請書類提出していれば、審査待時間中は政府の裁量により米国内で審査を待つことが許されていました。しかしながら、政府はこの裁量を行使しない方針に転換しており、延長申請や変更申請中であっても、I-94に記載された期限がすでに切れていることを理由に、空港などで身柄を拘束されるリスクが高まっています。
【240日ルール】
H-1BやL-1などの就労ビザ保持者は、I-94の滞在期限満了前に申請書類提出していれば、申請中にI-94が失効しても、申請中は最長240日間は継続して就労できる場合があります。この240日ルールは現在も有効ですが、最近の取締強化により、この規定に基づいて働いている社員がI-94が失効しているという理由で空港で拘束されたと報告されています。
【EAD就労許可証カード】
永住権申請中の人は、申請中にI-94が失効しても就労を続けられるようにEAD就労カードを申請することができます。しかしながら、仮に有効な就労カードをもっていても、I-94が失効した申請者は拘束の対象になっています。
【持参書類】
これらの動向に備えるため、パスポート、ビザスタンプ、移民局からの受領通知、過去の承認通知(I-797)、EAD(就労許可証)カード、最新のI-94、Advance Parole、申請申請書のコピー、雇用証明書類など該当する書類を常に持参したほうがよいと思われます。しかしながら、これらの書類を提示しても、I-94が失効しているという理由で拘束された事例が報告されているため、国内線利用、移民裁判所への出廷、移民局での面接、指紋採取場所、その他の移民関連手続きに出席する場合は、最新の注意が必要となります。
法的な状況は随時変化しているため、常に最新情報を確認し、専門家に相談しながら、事前に移民履歴や現在の申請状況を整理して自身の滞在資格を正確に把握し、関連書類を常備するように心がけてほうがよいでしょう。さらにI-94失効後の国内線の利用は当分避けたほうが無難だと思われます。
本ニュース記事に関する注意事項
(DISCLAIMER)
本雇用・労働・移民法ニュース記事は弁護士として法律上または専門的なアドバイスの提供を意図したものではなく、一般的情報の提供を目的とするものです。また、記載されている情報に関しては、できるだけ正確なものにする努力をしておりますが、正確さについての保証はできません。しかも、法律や政府の方針は頻繁に変更するものであるため、実際の法律問題の処理に当っては、必ず専門の弁護士もしくは専門家の意見を求めて下さい。Pierson Ferdinand 法律事務所および筆者はこの記事に含まれる情報を現実の問題に適用することによって生じる結果や損失に関して何ら責任も負うことは出来ませんのであらかじめご承知おき下さい。
