H1B以外のビザ選択肢

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2024年3月25日に2025年度の新規のH1Bビザ申請の受付が終了しました。登録期間中にシステムに問題が発生したために、もともとの締切日の22日が25日正午まで延ばされました。3月末の抽選に当選した人はH1Bを申請できますが、近年申請者が非常に多いため当選確率がかなり低くなってます。下記に当選しなかった場合の選択肢を挙げてみます。

H1B枠免除枠大学機関、非営利の大学と連携プログラムがある機関(例:大学から研修生を受けいれている病院など)、もしくは政府や民間の非営利のリサーチ団体などH1B枠免除の非営利団体が雇用主としてH1Bを申請することができます。これが承認されれば、本来ならばH1B枠を必要とする雇用主が第2雇用主としてH1Bを申請することができます。枠免除の雇用主のもとで就労が続く限り、第2雇用主の下で仕事を続けることができます。枠免除団体の就労を辞めて、第2雇用主の元だけで働くためには、第2雇用主が翌年の年度枠で新たにH1Bを申請しなければなりません。H1Bはフルタイムでもパートタイムでも申請できます。

STEM/OPT延長】F1学生の場合、OPT就労許可書を12ヵ月間まで申請できますが、STEM学位の学生はOPTをさらに2年延長することができます。このSTEM-OPT申請は、雇用主がE Verifyに加入することが条件で、雇用主は研修目的を明確にした研修計画書を提出する必要があります。STEM学生はOPTを合計36ヶ月申請できるので、この間最多3回までH1Bを申請することができます。ただし、追加24ヶ月のSTEM-OPT期間は60日以上非雇用状態が続くとOPTが失効するので注意が必要です。

F1プログラム延長】OPTやSTEM-OPTの残り期間が少ない場合、大学の他のプログラムに入学してF1学生滞在資格を延長することもできます。OPTは各学位毎に申請できるので、所定条件を満たせば再度OPTを申請することができます。また学位プログラムの一環として企業研修がある場合、或は大学が学外での雇用が学業に有益であると認めた場合は、学校がCPT(Curriculum Practical Training)による就労を認めてくれる場合もあります。ただし、CPTを12か月を全部申請してしまったら、OPTが申請できなくなるので注意が必要です。

研修ビザ

  • J1企業研修(経験有).米国外の大卒で1年間の関連経験があれば、J1企業研修ビザを申請することもできます。米国外の大卒でなければ、米国外で5年間の関連職務経験が必要となります。研修期間は一般に18カ月まで、ホテル、旅行などのホスピタリティー関連事業の場合は12カ月までとなります。
  • H3企業研修(経験無).アメリカでの研修に関連する学歴や職歴がない場合は、H3研修ビザを検討することもできるでしょう。ただし、H3はJ1とは異なり、教室内での研修が主体となるため、実地研修は最小限にとどめなければなりません。研修期間は最長で2年間ですが、2年間全部使った場合、国外に6ヵ月でていなければその後にH1BやLビザを申請することはできません。年間50人の申請者に発行される障害児特殊教育プログラムに参加する場合は18カ月までの研修となります。
  • J1インターン.アメリカ国外の大学に在籍して1年が経過している、或はアメリカ国外の大学卒業後一年以内であれば、アメリカ企業でJ1インターンビザを12ヵ月間まで申請することができます。

L関連企業間転勤ビザ】OPTの期間終了後に米国外の関連会社で最低1年間専門経験を積み、1年後にLビザを申請するオプションもあります。尚、国外の雇用主とアメリカの雇用主は親子会社、同じ株主の関連会社など、Lビザの関連企業の条件を満たす必要があります。

【日本人用ビザ】日本人の場合、管理職経験或は専門的職務経験があれば、Eビザ条件を満たすアメリカの日系企業でEビザを申請するオプションがあります。職務経験のない新卒者であれば、OPTとSTEM-OPTの合計3年間に専門的経験を積み、それをもとにEビザを申請することも検討できます。

日本人以外日本人以外の場合は、カナダ・メキシコ人であればTNビザ、オーストラリア人であればE3ビザの申請も検討できます。また、チリ・シンガポール人にはH1B普通申請の6.5万枠の中から6,800枠が別枠として設けられているので、これらの国籍保持者であれば、この枠がなくなるまでH1Bの申請も可能です。

【B2観光滞在資格】OPT終了後帰国する場合で、アメリカでの滞在を数か月間延ばしたい場合は、学生滞在資格が失効する前に、滞在資格をB2観光カテゴリーに変更する申請を移民局に提出することができます。申請中はアメリカに滞在しながら審査を待つことができます。

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