米国移民局は、特定の非移民ビザ滞在資格保持者に対し、就労許可書(EAD)の期限を最大で5年に延長すると発表しました。各滞在資格の種類と就労許可書の期間についての詳細は、移民局のポリシー・マニュアルにアップデートされています。
難民認定者、難民仮入国者、亡命者、退去保留対象者など滞在資格や状況に応じて雇用が許可される特定の非米国市民は、初回申請および更新申請時の雇用許可書の最大有効期間が5年に延長されます。また、亡命申請者、退去保留対象者、INA 245 に基づく永住権申請者など、雇用許可を申請しなければならない特定の非米国市民は、初回申請および更新申請時の雇用許可書(EAD)の最大有効期間が2年から5年に延長されます。国外退去停止や国外退去取消対象者は、初回申請および更新申請時の雇用許可書(EAD)の最大有効期間が1年から5年に延長されます。さらに、特定のアフガニスタン人とウクライナ人の仮入国者は、その滞在資格に基づいて雇用が許可されます。
その他には、2022年1月31日以降国外から入国したEやLビザ配偶者は、出入国記録フォームI-94の滞在資格にE1S, E2S, L2Sと配偶者を示す“S”の文字があれば、滞在資格に基づいて自動的に就労が許可されるようになりました。それ以前は、これら配偶者がアメリカ国内で就労するためには就労許可書を申請する必要があり、I-9 のリスト C の雇用資格確認書類として就労許可書(カード)を提出していました。現在はI-94のビザ種類に“S”の文字が明記してあれば、I-9 のリスト C の雇用資格確認書類としてI-94を提出することができます。
2014年度に特定条件を満たしたH1Bの配偶者が就労許可書を申請できるようになってからは、就労許可書の申請件数が大幅に増加しました。その後、さらに新型コロナのために雇用許可証の審査時間が大幅に遅れてしまいました。今回の雇用許可書の有効期間の延長により、今後就労カードの延長申請件数が大幅に削減され、就労カードの審査時間と発行までにかかる時間がかなり短縮されると思われます。
ただし、雇用許可を維持できるかは、ビザ種類やその状況によって異なります。就労カードが有効であっても、途中でカードが使えなくなる場合も考えられます。例えば、永住権申請中の申請者が永住権申請に伴い5 年間有効な就労カードを受け取った場合、その後永住権申請が却下されたら、その時点で就労カードも使えなくなる可能性があるので注意が必要です。
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